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《口上》 とざいとぉ~ざぁ~い [プロローグ]

 「電車は、あなたの部屋ではありません」というCMがある。陸蒸気の頃には、下駄を脱いで乗車した人もいたというが、これは現代の電車内での迷惑行為を戒める公共広告機構のマナーCM(関西版)である。2席分を占領している、耳から音漏れがする、ケータイが鳴る、…。電車内での非常識な振る舞いは今に始まったことではないが、どんどんエスカレートしてきた。昔はそうではなかった。電車に乗って出かけるときには「よそ行き」を着て、子供ながらに紳士淑女たるを躾けられた。だいいち、子供は座席に座ってはならなかった。近頃の若者は、子供以上にタチが悪い…。
 だが、よく見ると、どうやら若者だけではないのだ。大きな荷物を横に置いて座っているオバチャンがいる。声をかけても通路を譲らないオッサンがいる。また、声もかけずにゴリ押しするオヤジがいる。もちろん、老人にさっと席を立つ善良な青年も少なくないのだが、世の中、ワガママやヒトリヨガリが横行するようになってきたのだ。
 「個性の時代」といわれて久しい。万人が中流意識を持ち、逸脱を嫌い、できる限り「普通」であろうとした世の中から、いかに他人と違うかを競う風潮に変わってきた。個性的な人が注目を浴び、誰もがオリジナルであることを求める。かつては「普通でない人」がプロであったが、今はファッションでも芸能でも、玄人と素人の境界が曖昧だ。少子化で1人ひとりの子供が大事にされたことも背景にはあるだろう。近年の教育改革を見ても、個性尊重が明確に打ち出されてきている。
 インターネットの目覚しい普及も、個性尊重の隆盛と無縁ではないだろう。だが、個性の尊重は、時として「公」と「私」を混同させる。公共交通機関と自室を一緒くたにする。
 そして、ブログである。ブログは元来、個人的なメモ、覚書、あるいは日記の類である。日記など「私」のカタマリだ。自分や、近縁の者だけに通ずるもの、まさにワタクシゴトである。そんな超私的なものを公開する意味はあるのか。公共の電波を私物化するタレントではないが、公私混同もいいところだ。その上、インターネット上では誰もが匿名なのである。誤った情報を流しても、責任を免れる。悪の温床になり得る。…だから、僕は今まで、ブログを嫌っていたのだった。
 ところが、とうとうブログを始めることになった。これだけ述べ立てた以上、理由を正当化せねばなるまい。だが、残念ながら、すべてワタクシゴトの域を出ない。
 その1は、今でなければ書けないことがあること。僕は、幼児期を京都で過ごし、少・青年期を東京を拠点として暮らした。そして再び京都に戻って、今年3度目の春を迎えた。京都はよく知った土地だと思っていたのだが、いざ住んでみると、様々な違和感が出てきた。3年目の今では、和睦を結んだ違和感もあるし、まだ容認しがたいものもある。逆に、東京に対する違和も多少感じている。そういった感想を、できる限り私的にならずに記録しておきたいと思うのである。
 その2は、禁断症状である。東京では、長年、文章を書いて活字にする仕事をしていた。京都へ来て、書くことが殆どなくなり、喋ることが多くなった。言わんとすることを口頭で表現することの難しさに、日々手を焼いている。そして、時々ふと文章を書きたくなるのだ。それに、文章を書かなくなったら記憶力が低下したように思える。年齢のせいもあるだろうが、まだ決して老人の域ではない。文章を書きながら脳を回転させるという習慣が、身についてしまっているからではないだろうか。さて、書く以上はヒトサマに見ていただける責任あるものにしたいと思う。読んでいただくことで励みにもしたい。そこで、ブログを選んだのだった。
 その3は、先に妻が始めていたこと。とても楽しそうである。近頃、妻が新しいものを輸入してきて、夫が後から真似をするというパターンに陥りがちで悔しいが、楽しそうなものは楽しそうである。致し方あるまい。
 その4は、言うまでもなくso-netさんのキャンペーンである。致し方あるまい。
 最後にこのブログを書いていくに当たってのルールを決めておきたい。まず第一に、虚偽は書かない。不確かな情報である場合は、それがわかるように表現する。また、万が一、誤記が発覚した場合は速やかに訂正及び謝罪を行う。ただし、文章の性質上、多少の誇張はあり得ることをご了承いただきたい。第二に、自分や身内にしか通じないような内容は避ける。また、必要がある場合は客観的な説明を加えるものとする。以上。

 さて皆様、長々の口上になりました。これをお読みになって、随分ふてぶてしい野郎だとお思いになった方も居られましょう。こんな調子で書いていく所存でごさいますので、決して、読んで癒されたり笑えたりするものではございません。返って気分を害されて、夜眠れなくなってもいけませんので、よっぽど、お時間と心のゆとりがおありの時に、気が向いたら立ち寄っていただければ幸いでございます。

 何卒、何卒、宜しくオン願い奉りまする。


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